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エドガー・アラン・ポー
【東京雑学研究会編】

§酒がなかったらミステリー作家にならなかった小説家の生涯

エドガー・アラン・ポーイギリスロマン派の影響を受けて怪奇的・幻想的な短編小説を書いた小説家、音楽的で格調高い詩を作った詩人、また推理小説やSF小説の元祖として名高いけれども、彼もまた酒なしには生きられない……というよりは、はっきり言ってアルコール中毒だったということはあまり知られていないかも知れない
ポーはイギリス初等教育を受け、一八二六年にバージニア大学に入るが、一年ほどで退学して、二七年にボストンに出奔した。元々、軍人志望だったため陸軍に入隊し、ウェストポイントの士官学校に通い始めるが、三一年にここを退学になってしまう。その原因は酒。士官学校の学生であるにもかかわらずアルコール中毒だったのだ。
士官学校に入る前に処女詩集『タマレーンその他の詩』を出したポーは、軍人への道を絶たれ、しかたなく詩や小説を本格的に書き始めた。
長詩『アル・アーラーフ』を含む第二詩集をニューヨークで出版し、その後、ボルティモアで本格的に短編小説を書き始め、三三年に『壜の中から出た手記』が懸賞に当選して作家として成功をおさめることになる。酒によって士官学校を退学にならなければ小説家・ポーはなかったかも知れないのだ。
小説家として名をあげてからも酒とは縁が切れず、症状はひどくなるばかり。特に妻を結核で亡くしてからは、酒びたりとなって、何も書けなくなってしまう。
詩人のホイットマン夫人と出会って結婚しようとしたが、酒の上での失敗が原因で失恋してしまう。
それから半年後、飲み過ぎで気を失い、路上で行き倒れたまま死んでしまったとき、まだ四〇歳の若さだった。
探偵デュパンの『モルグ街の殺人』などの推理小説、『黒猫』『アッシャー家の崩壊』『黄金虫』などの一連の代表作に見られる人間の無意識の中に潜む恐怖や幻想的で陰鬱な世界は、命を落とすほどに飲み続けたポーだからこそ築き上げたものだったのかも知れない




東京書籍 (著:東京雑学研究会)
「雑学大全」
JLogosID : 12670104

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編集:東京雑学研究会
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発売日:2004年8月
ISBN:978-4487799473

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