ウソ①
【東京雑学研究会編】
§なぜウソは真っ赤なのか?
あまりにも空々しいウソ、大げさなウソを、日本語では「真っ赤なウソ」という。
ところで、どうしてウソが赤いのだろうか? 聞いている方が赤面するほどの偽りということだろうか、黒いウソや黄色いウソもあるのだろうか。
そうではない。「真っ赤」とは、本来の意味から、ずいぶん逸脱した表記になっているが、語源はサンスクリット語の「マハー」なのである。
サンスクリット語は梵語ともいい、古代インドで使われていた言葉である。文学や宗教にも、公用語・文章語として用いられ、日本にも仏典を通じて入ってきている。
「マハー」は、漢訳仏典で「摩訶」と訳される。「摩訶」は、その下につく言葉を強調したり、賛美するときに接頭語のように使い、「大きい」「優れている」「偉大な」などの意味となる。日本で定着した言葉の例に、大変不思議なことを表すときの、「摩訶不思議」がある。
とんでもないウソを「マハーなウソ」と言っていたのが、「摩訶なウソ」となり、いつしか「真っ赤なウソ」と書くようになったというわけである。
ところで、英語には「ホワイト・ライ」という言葉があるが、これは許されるウソ、罪のないウソという意味である。欧米人はウソをつくことを、許しがたいほど重い罪と考える。議会で、ウソの証言をして偽証罪に問われようものなら、社会的生命を失いかねないほどである。だが、やむをえないウソなら、「ホワイト・ライ」として容認してもらえるし、年に一回は、ウソをついても許される日の「エープリル・フール」がある。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670079 |