【時事用語のABC】社会 > 社会問題
著作権ロンダリング
【ちょさくけんろんだりんぐ】


ロンダリング(laundering)は直訳すると「洗濯・洗浄」となるが、主にマネーロンダリング(資金洗浄)などで用いられる言葉。マネーロンダリングとは不法な取引や脱税等で得られたお金を、資金の出所を分からなくするために他人や架空名義の口座を何度も経由させることで、元を辿れなくする行為のこと。
著作権ロンダリングは造語で、マネーロンダリングと同様に、著作権違法の画像や文章(以下素材)を、合法で利用しているように見せかける行為のことを指す。
具体的には、著作権の範疇では通常勝手に利用できない素材を、まずソーシャルメディア(ツイッターやピンタレスト等)に投稿し、そのソーシャルメディアが正式に用意している共有ツールを使い、利用するというものが多い。当然最初にソーシャルメディアに投稿する際に、著作権の無い素材は投稿しない旨の規約があるが、最終的に投稿されてしまった画像を第3者が利用する場合は、ソーシャルメディアの規約違反をしない限り利用できてしまう。
これら一連の流れは、ソーシャルメディア等が、自らはプラットフォームとして場を提供しているだけ、という立場を取り、著作権違反はそのメディアに投稿した投稿者の自己責任という姿勢のため、プラットフォーム側は責任を回避するケースが多い。これは「プロバイダ責任法(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律)」によって、プロバイダ(プラットフォーム)側が、その事実(著作権法違反)を知らなければ賠償責任を負わなくても良いとされていることも背景にある。
もちろん実際は利用する側がソーシャルメディア上の規約の範囲内であっても、著作権や肖像権、著作者人格権等、また自動公衆送信権、送信可能化権等を侵害する場合もあるが、明確な場合を除いて責任追及が難しい場合もあり社会問題となっている。(2016/12,KK)
![]() | 時事用語のABC (著:時事用語ABC編集部) 「時事用語のABC」 JLogosID : 14425655 |