ハーグ条約
【はーぐじょうやく】
正式名称「国際的な子の奪取の民事面に関する条約」だが、採択されたハーグ国際私法会議の名をとって「ハーグ条約」と一般的に通称される。国際結婚が破綻した際、片方の親が16歳未満の子どもを、元の居住国から了解なしに連れ出すことを禁じる国際私法条約。1980年採択、1983年発効。外務省の発表によると2014年1月時点で91か国が加盟済。日本は長らく未加盟(主要8か国(G8)では唯一)状態にあったが、2011年に検討開始、2013年に条約締結が国会で承認され、2014/4/1、正式加盟となった。条約は加盟国どうしの間でのみ有効となる。このため、日本人の母親が子連れで帰国した場合、例えば加盟国である米国人の父親が子どもと面会できなくなる、といった事態が多発していた。「連れ去り」「拉致」「奪取」であるとしてこれらの訴えを重くみた欧米諸国が日本に加盟を強く要求し続けてきたという経緯がある。特に米国は、日本の条約未加盟が、北朝鮮拉致問題における対日支援に悪影響を及ぼす恐れがあると警告したとされている。条約発効後の具体的な流れとしては、加盟国から返還援助申請があった場合、先ず日本の中央当局(外務省)が子どもを捜す。その後子どもの親同士で話し合いが行われ、解決に至らなかった場合は東京・大阪の家裁で子どもを戻すべきか否かが決められる。子ども当人が拒否したり、返還したことで子どもに危険が及ぶ(虐待・DVなど)と考えられる場合は、返還しないという結論になることもある。これは、ハーグ条約そのものとは別の、運用するための国内法で定められたものである。日本における条約の発効・適用は上記のとおり2014/4/1からであるが、発効以前に起きた事案についても面会を求める親の声が、外国では少なくない。
| 時事用語のABC (著:時事用語ABC編集部) 「時事用語のABC」 JLogosID : 14425574 |