空中衝突防止装置
【くうちゅうしょうとつぼうしそうち】
Traffic Alert and Collision Avoidance System; TCAS
航空機同士の空中での衝突を防止する装置
近くを飛行する航空機と衝突する危険性があるとき、操縦室のパイロットに警報を出したり、衝突を回避する操作を指示したりして、航空機同士の空中衝突を防止する。
空中衝突防止装置 (TCAS) を装備する航空機は、周辺を飛行する航空機と電波で情報を交換し、常にお互いの位置関係を割り出している。相手機の高度や位置から衝突の可能性があるかどうかを計算し、45秒以内に衝突する危険性があれば警報を出す。さらに、衝突の危険性が30秒以内に迫れば、パイロットに衝突回避操作を指示する。
警報や衝突回避操作は、TCASに視覚的に表示されるほか、操縦室のスピーカーから音声で流すなどして注意を喚起し、パイロットに進路の修正を求める。
日本の航空会社は、2001年からTCASの装備が義務づけられている。また、国際民間航空機関 (ICAO) も187の加盟国に対し、2003年1月までに装備することを求めている。
ドイツ南西部で起こった旅客機と貨物機の衝突事故では、旅客機のTCASは「上昇」を指示していたのに、管制官の指示に従って降下したことが原因と見られている。2001年1月の日航機ニアミス事故でも、同じような出来事があった。
国土交通省の航空・鉄道事故調査委員会は、TCASの回避指示と管制官による指示が相反する場合、TCASの指示を優先すべきであるとして、明文化した規定を盛り込むように国際民間航空機関 (ICAO) にも勧告する。
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| 時事用語のABC (著:時事用語ABC編集部) 「時事用語のABC」 JLogosID : 14425099 |