ヴェネト
ヴェネト州は、ヴェローナの北の丘陵地を中心とするワイン産地である。ヴェローナといえば『ロミオとジュリエット』ゆかりの観光地として知られるが、ワインの町としてもたいへん名高い。毎年4月には「ヴィニタリー」といわれる、世界的に有名なイタリアワインフェアが開催され、世界中から多くのバイヤーや生産者、ジャーナリスト、ワイン愛好家が集まり賑わう。日本から出向く参加者も多いようだ。
ワインは赤、白ともに生産されていて、種類もバラエティに富んでいる。赤は濃厚で押しの強いものよりは、ほどほどにコクがあるタイプが主流となる。白は軽やかで繊細、やさしく上品なスタイルのものが多い。例えば代表的な白は、辛口の「ソアーヴェ」、フレッシュで辛口な発泡性ワイン「プロセッコ」など。どちらも日常的に気軽に楽しめて、味のバランスがよい。食事の味を邪魔しない食中酒としても活躍してくれるし、夏に軽く冷やして、のどの渇きを潤すのにも重宝する。
一方赤なら「ヴァルポリチェッラ」。コルヴィーナ、ロンディネッラ、モリナーラのぶどうをブレンドしてつくられるこのワインは、軽すぎず重すぎず均整のとれた味わいが嬉しい。ヴァルポリチェッラの一種である「アマローネ」も見逃せない。干しぶどうを使ったアマローネは、ヴェネトが誇る風格ある赤ワインとして知られる。
| 東京書籍 (著:熊野 裕子) 「ワイン手帳」 JLogosID : 8538766 |