自分自身の本当の姿を知るものは自分以外のどんな力にも利用されたり支配されたりすることはない。
【名言名句】
自分自身の本当の
姿を知るものは自分以外のどんな力にも利用されたり支配されたりすることはない。
【解説】
『ゲド戦記』の主人公ゲドは、魔法を学ぶ少年だったが、禁止されていた術を使ったために死者の霊とともに「影」をもよびだしてしまう。ゲドはその影に脅かされつづけるが、最終的には自ら影と対峙することを選び、これを自分の一部として完全に受容することによって、それを克服する。
「影」の正体ははっきりは語られていないが、自分自身の中の闇の部分、自分自身で認めるのが難しい負の部分を象徴している。それを否定し、打ち勝とうともがいているうちは、打ち勝つこともなくすこともできない。長い葛藤を経て、ゲドが「影」に戦いを挑むことをやめて腕を広げて完全に受け入れたとき、はじめて影は消える。それによってゲドは「己を全きもの」とし、真の自由を得たのである。
宮部みゆきもまた『ブレイブ・ストーリー』で心に闇を抱えた気弱な少年の同様な葛藤と対決を描いている。
【作者】ル・グウィン
【生没年】1929~
【職業】アメリカの作家
【出典】『ゲド戦記?T 影との戦い』
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450462 |