ぱさぱさに乾いてゆく心をひとのせいにはするなみずから水やりを怠っておいて
【名言名句】
ぱさぱさに乾いて
ゆく心をひとのせいにはするなみずから水やりを怠っておいて
【解説】
最近の自分はどうもまずい、と思うことがある。心がぱさついているようで、しみじみと感じることが少なくなった。気難しくなってきたようにも思う。まだ初々しかったころの夢もすっかり色あせてしまった。どうしてこんなことになってしまったのだろうかと、あれこれ考える。いろいろな理由が浮かんでは消えていくのだが、結局のところ、その一つひとつはすべて自分の心のありように帰するのである。詩人はこの詩を「自分の感受性ぐらい 自分で守れ ばかものよ」と結んだ。
【作者】茨木のり子
【生没年】1926~2006
【職業】詩人
【出典】『自分の感受性くらい』
【参考】ひとり暮らしをしていた茨木のり子が自宅で死去しているのが発見されたとき、死亡日時と死因をあとから書き込めるようにした「このたび私○○にてこの世におさらばすることになりました。これは生前に書き置くものです」という文面の知人にあてた死亡通知と遺書が既に用意されていた。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450459 |