家の美風その箇条は様々なる中にも最も大切なるは家族団欒相互にかくすことなき一事なり
【名言名句】
家の美風その箇条
は様々なる中にも最も大切なるは家族団欒相互にかくすことなき一事なり
【解説】
それぞれの家庭にそれぞれの美風をみることができるが、なにより美しいのは家族団欒である。家族が仲よく集い、隠し事なく話し合う姿は、心がなごむものである。
福沢諭吉は慶応義塾の創立者、明治の民間啓蒙思想家として知られている。彼は江戸幕府の使節団とともに欧米を訪れた経験から『西洋事情』を著し、欧米の文明を紹介することにも努めたが、この言葉も明るく解放的な欧米の家庭を思い描いて述べたものと思われる。
当時の日本の家庭には封建的な雰囲気が強く、家族の団欒の美風などおそらくなかったであろう。新しい時代になったのだから、家族の形も新しくというわけである。
さて、時は移って現代の日本の家庭はどうか。封建的雰囲気はないにしても、家族は互いに勝手なことをして会話も少ない家庭が多い。子どもたちまでがクラブ活動や塾に通うことで日々忙しく、団欒どころか食事の時間帯までがそろわない。バラバラの時間に、それぞれが好きな食べ物を食べる個食現象さえ起きている。
福沢諭吉の言葉は、現代の家庭にとっての理想像でもあるのだ。
【作者】福沢諭吉
【生没年】1834~1901
【職業】思想家
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450417 |