男が家庭を持ちたいってのは思いきり阿呆になれる場所がほしいからだ
【名言名句】
男が家庭を持ちた
いってのは思いきり阿呆になれる場所がほしいからだ
【解説】
会社ではてきぱきと仕事をこなし、ビジネススーツをきりりと着ている有能なビジネスマンが家庭ではだらしない下着姿でゴロゴロしている、というのは珍しいことではない。男にとって家庭は何よりの息抜きの場、外見を気にせず建て前も捨てて隙だらけになってくつろぎたいのである。しかし最近の妻たちは、夫が家で「思いきり阿呆になる」ことを許してくれないらしい。亭主族もなかなかたいへんである。
この言葉は『化粧と口笛』の一節。作中に登場する男が、女と別れた理由を説明するときに語られる。「亭主元気で留守がいい」という標語が流行ったり、民間の男性のための料理教室・家事教室はもとより、自治体までが「定年後に粗大ゴミにならないように」と題して講座を開いたりしているという現代を川端康成が知ったらどんな思いを抱くのであろうか。
家庭は、男にとってだけでなく、家族みんなが仮面をつけずに自然体でくつろげる場所であってほしいものだ。
【作者】川端康成
【生没年】1899~1972
【職業】作家
【出典】『化粧と口笛』
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450415 |