アリガトウヨオレハ ウレシカッタヨソバニイテ テヲニギッテクレヨコレイジョウ ジヲカケナイカラワ
【名言名句】
アリガトウヨオ
レハ ウレシカッタヨソバニイテ テヲニギッテクレヨコレイジョウ ジヲカケナイカラワカレルヨ
【解説】
辻永は、かくしゃくとして八十歳まで絵筆を握って活動していたが、脳血栓で入院。退院後、再び制作活動に励むが、再び病に倒れ九十歳で永眠した。
記憶力がすばらしく、その秘訣をたずねた医師の日野原重明に「私の記憶力が、もしすぐれているとすれば、それは頭がよいからでなく、私は日本人のだれよりも努力して覚えようとしたからだ」と語ったということだ。
死の十分前に、「字を書きたい」ことを不自由な体で表現したので、筆を握らせると、紙の上に「アリガトウヨ」の文字が書き出されたという。死ぬと悟ったときの感謝の言葉であり、別れの挨拶であった。
われら凡人、願わくば末期の自己表現が「アリガトウ」に収れんされるような人生を全うしたいものである。
【作者】辻 永
【生没年】1884~1974
【職業】画家
【参考】日野原重明著『死をどう生きたか』より。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450155 |