得て何ぞ喜ぶに足らん失いて何ぞ憂うるに足らん
【名言名句】
得て何ぞ喜ぶに足
らん失いて何ぞ憂うるに足らん
【解説】
三国志の主人公の一人である劉備が、のちに名軍師となる諸葛孔明と出会う前のこと。徐州という領地を手に入れるが、弟分の張飛が酒の上での失敗から城を失ってしまう。張飛の報告を受けた劉備が、ため息交じりに言った言葉である。
もともと徐州は人から譲られた領地で、その際も劉備は再三断り、最後にしぶしぶ受けたということになっている。どちらもポーズとみられないこともない。得れば喜び失えば憂える。それが人情というものだろう。
しかし、こうした無欲|恬淡さや鷹揚さは、中国において王者の素質とされるものだ。劉備にはそれがあったので、たくさんの人材に慕われ、その人々に助けられて、最後には皇帝と呼ばれる身となるのである。
「人間万事|塞翁が馬」ともいうように、富を得ても不幸になることもあれば、富を失っても健康な体さえあればなんとかなるもの、と、常に、願わくは、平常心でいたいものである。
【出典】『三国志演義』(十四世紀中頃)
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450074 |