いまこそ私たちは極限のマイナス地点から出発すべきではないのか
【名言名句】
いまこそ私たちは
極限のマイナス地点から出発すべきではないのか
【解説】
人はだれでも幸せな人生を夢み、安らかにその生涯を終えることを願う。ヒューマニズムと愛、そして世界の限りない前進を信じて、前向きに生きようとする。しかし、このこと自体がすでに人間の「苦」をはらんでいるともいえるのだ。夢見ればこその挫折、信じればこその失望である。
ならば、人生とは結局のところ苦しみの連続なのだという視点=「極限のマイナス地点」にたって、物事を見直してみるのもいいかもしれない。人は、最後には孤独のうちにひとりで死んでいくのだという覚悟があれば、人の温かさへの感動を深いものにするのではないか。
プラス思考で明るく生きていける人にはネガティブで暗い人生観に思われるかもしれない。しかし、前向きに頑張ることに疲れてしまった人に向かって、五木は語りかけているのである。あなたはここに落ちてきたのではなく、ここから出発するのだ、と。
【作者】五木寛之
【生没年】1932~
【職業】作家
【出典】『大河の一滴』
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450028 |