大地を一歩一歩踏みつけて、手を振っていい気分で、進まねばならぬ急がずに、休まずに
【名言名句】
大地を一歩一歩踏
みつけて、手を振っていい気分で、進まねばならぬ急がずに、休まずに
【解説】
「暗夜行路」とは、人生のよりどころを見失った人間が手探りで前進することを意味している。この言葉は、目まぐるしく動く世の中に引きずられてあくせくとしやすい現代人に重い響きを与える。足を地につけて、心をおおらかに、ゆっくりと着実に歩む、人生にも仕事にもこういう態度でありたい。
「闇夜の一灯」という言葉もあるが、小さな光を頼りに、広い原野の中に歩みを進めていく、ひたむきな姿は、共感を呼ぶ。
【作者】志賀直哉
【生没年】1883~1971
【職業】作家
【出典】『暗夜行路』
【参考】『暗夜行路』は、志賀直哉唯一の長篇小説。完成まで十七年を要した大作である。主人公の精神的闘争は、芥川龍之介をはじめ同時代の作家や読者に大きな影響を与えた。また、無駄のない文章は文体の一つの理想とされ、志賀はその代表作の一つ『小僧の神様』にかけて「小説の神様」と呼ばれた。
| あすとろ出版 (著:現代言語研究会) 「名言名句の辞典」 JLogosID : 5450008 |