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東洋医学のしくみ3章 「証」による診断と治療 >

同病異治と異病同治
【どうびょういちといびょうどうち】

◆同じ病気でも証の違いで別治療
「先生、ひどい頭痛が続いているんです」と患者に言われてすぐに特定のツボに針を打ったり、下痢と聞いただけで簡単に特定の漢方薬を処方したりするのは、本当の東洋医学ではありません。
 弁証のところで説明したように、さまざまな角度から患者の情報を集めて、どうして頭が痛いのか、どうして下痢になっているのかという理由を見きわめてから治療方法を考えるのが東洋医学です。
 きちんと弁証すれば頭痛や下痢もいくつかの証に分かれ、その証に応じて治療方法も変わります。このように、現代医学でいうカゼとか頭痛、下痢といったように同じ病名であっても、証によって治療方法が違うことを「同病異治」といいます。
 インフルエンザを例にとってみましょう。現代医学では、インフルエンザだとわかれば通常の感冒(カゼ)とは異なった治療をしますが、年によるウイルスの型の違いこそあれ、インフルエンザであれば治療の方法は基本的に皆同じです。
 一方、東洋医学では冬に同じような症状が出るために、感冒とインフルエンザをとくに区別しません。そのかわり、同じ型のインフルエンザであっても、出ている症状が人によって違えば違う「証」とみなすことで、それに応じて治療の方法を変えていくのです。
 まさにこの考え方が同病異治で、東洋医学の治療方法の特徴の一つになっています。

◆違う病気なのに同じ治療をする
 同病異治とは反対に、表面上はまったく違う症状の病気に対して同じ治療方法をとるというケースもよくあります。これを「異病同治」といい、こちらも東洋医学ならではの特徴的な治療方法です。
 違う症状を同じ証として考えるポイントは、症状の「連動性」にあります。いつも頭痛に悩まされている人が、あるとき寝冷えをして下痢を起こしたとします。このとき、通常なら頭痛と下痢の間に連動性はないので、別の証と考えるべきでしょうところが同じく頭痛と下痢に同時に襲われたケースでも、下痢になると決まって頭も痛くなるというような場合は、明らかに連動性があるので、同じ証として治療できる可能性が出てくるのです。
 たとえば、下痢の原因の一つに脾の機能が低下する「脾気虚」という証があるのですが、脾気虚になると頭など体の上部へ栄養を運ぶ働きも鈍くなるため、頭痛も出てきます。専門的な説明は省きますが、下痢と同時に頭痛も起こるというのなら、この脾気虚を疑うことができます。
 脾気虚ならそれを改善する一種類の治療方法を選択するだけで、下痢も頭痛も一度に治せてしまう、これが異病同治です。人体を一つの有機体としてマクロ的にとらえる東洋医学だからこそ、考えられる治療ということもできます。




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030069


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 日本実業出版社「東洋医学のしくみ」

出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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