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東洋医学のしくみ2章 東洋医学ではこう考える >


【き】

「気」とは見えないけれど実体のある“物”

◆人の体は気が集まってできている
「気」は、高性能の電子顕微鏡を使っても見ることができません。また、電気や熱エネルギーのように数値化できる計測手段も、今のところは存在しません。そのため、現代医学では無視されていますが、東洋医学では非常に重要な要素です。
「気」のイメージをつかむためには、もう一度東洋医学の原点である中国思想に戻って考えてみる必要があります。
 中国思想では大宇宙を「太極」といい、太極には「気」が満ちているとします。地球上の「空気」ではなく、宇宙全体だからあくまでも「気」です。
 さらに、気の分布には希薄な部分と密な部分があり、密な部分が物体を構成しているとします。地球そのものも、木も花も動物も人間も。つまり、人の体は気が集まってできているというわけです。
 人全体が気でできているのなら、血と津液は何かとの疑問も湧きますが、ここで「天人相応」が出てくるのです。
 大宇宙の気は陰陽に二分して変化していますから、小宇宙である人の気も、陰と陽に二分されます。二分したもののうち、物質性が低くて運動性の高いものを「陽」、逆に物質性が高く運動性の低いものを「陰」とし、陽の部分を気、陰を血・津液としているのです。
 気・血・津液を完全に分けて考えてはいけないという理由の一つはここにあります。元は同じ太極の「気」なのです。

◆気の作用と種類
 東洋医学では人体の気の働きについて、次の6種の作用があると考えています。
①栄養作用
②推動作用
③温煦作用
④防御作用
⑤固摂作用
⑥気化作用
 ここで注目してほしいのが、気が一般に考えられているよりもはるかに実体のある「物」としてとらえられていることです。電波や熱のようなものではなく、運動性を持った物質なのです。物質だから栄養を含むことができるのだし、体内で足りなくなったり(気虚)、溜まったり(気滞)するのです。
 気功師は病人から悪い気を取り去ったり、気が不足している人にあげたりします。これは、気に物質性があるからこそできることなのです。
 また、人の体内の気は1種類ではなく、どういう作用を強く示すかによって、主に4つの種類があります。
①宗気…推動作用が強い
②営気…栄養作用が強い
③衛気…防御作用が強い
④元気…成長促進、活力を旺盛にする作用が強い
 このほかに、病気(邪気)に対抗する機能(免疫力、抵抗力、治癒力など)を指す「正気」、経絡の経脈を流れている「経気」、腎や肺といった内臓の機能をコントロールする「臓腑の気」(臓腑ごとに腎気、肺気などという)があります。




日本実業出版社 (著:関口善太)
「東洋医学のしくみ」
JLogosID : 5030046


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出版社:日本実業出版社[link]
編集:関口善太
価格:1,620
収録数:115
サイズ:20.8x14.8x1.6cm(A5判)
発売日:2003年7月
ISBN:978-4534036179

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