健康日本21の終了と現状について
【けんこうにほんにじゅういちのしゅうりょうとげんじょうについて】
わが国は2000年に、国民がより主体的に健康を実現できるように、社会全体が支援していく「21世紀における国民健康づくり運動」(健康日本21)を制定しました。当初、この運動期間を2010年までとしましたが、その後2012年までに延長されました。しかし、2011年10月に、終了をまたずして最終報告書が公表されました。
健康日本21は9分野、すなわち、[1]栄養・食生活、[2]身体活動・運動、[3]休養・こころの健康づくり、[4]たばこ、[5]アルコール、[6]歯の健康、[7]糖尿病、[8]循環器病、[9]がんについて、策定時に設定した目標値にどれほど達したかを発表しています。それによりますと、9分野59項目のうち「目標値に達した」ものと「目標値に達していないが改善傾向にある」を合わせて全体の約6割で一定の改善がみられました。
歯の健康の項目の中から、皆さんの関心が高そうなところを「表」にしました。
自分の歯が20本あれば、とりあえず何でも咀嚼できるとして、80歳なっても自分の歯が20本以上残るようにしましょうという「8020運動」(はちまるにいまるうんどう)は今から20年以上前に始まりました。この20年間に、わが国の平均寿命が世界一に伸び、それを維持しています。その原因の一つに、歯の寿命の延長がかなり貢献しているのではないかと考えている研究者がいます。
8020運動と健康日本21の取り組みによって、歯の喪失状況は改善しつつあります。8020を達成するための中間目標としましては、60歳で24本以上の歯を残すようにしたいものです。ところが現状は、60歳にしてすでに24本は残っていない人が4割います。さらなる改善を図るためには、定期的に歯科検診を受け、歯石除去をしてもらう「かかりつけの歯科医」を持つようにしたいものです。
2011年8月に「歯科口腔保健の推進に関する法律」が成立し、質の高い生活を営むためには口腔の健康を維持することの必要性が明らかにされました。また、健康日本21は終了しますが、2013年からの次期国民健康づくり運動に向けて専門委員がどのような具体的な策定を出してくるのか見守って行きたいものです。 (指宿真澄)
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5036637 |