セラミック治療
【せらみっくちりょう】
最近ではただ単に治療して金属冠などで歯冠修復をするだけでよいといった時代ではなく、治療をするにあたってその途中や最終的な歯冠修復などについて審美性の要求が非常に高くなってきています。そのためセラミックを利用した処置は非常に多く行われるようになってきました。近年、セラミックは材料学的な面で非常に向上し、一般に神経の処置をした歯での全部被覆冠だけではなく、前歯などの審美処置、またむし歯の処置での部分修復などその応用範囲は広くなってきています。
昔から差し歯といわれているものは、セラミックのものでは「メタルボンド(陶材焼付鋳造冠)」のことをいい、金属冠に陶材を焼き付けて審美的に作製したものをいいます。以前は歯肉が退縮して下がってくると、メタルボンドと歯の境目が黒く現れてきたりしたものですが、最近は「ポーセレンマージン」といってメタルボンドの縁もセラミックで仕上げる方法や、「フルベーク」といって表面のほぼ全体をセラミックで焼き付けてほとんど金属の部分が見えないようにする方法があり、その審美性を飛躍的に向上させています。
また最近では、「オールセラミック」と呼ばれるものも登場してきました。これはメタルボンドのように金属を内側に使用したりするものではなく、すべてセラミックで作製された修復物のことをいい、全部被覆冠のオールセラミッククラウン、むし歯の部分修復でのセラミックインレー、歯の表面のエナメル質を1層だけ削合して薄いセラミックを貼り付けるラミネートベニアなど様々な処置に使用されています。
また、2005年に「ジルコニア」が歯科材料として認可されましたが、ジルコニアは白い金属といわれ、割れの原因といわれる亀裂の伝播を緩和する性質があり、非常に強度の高いセラミックです。今のところブリッジやインプラントの上部構造では敬遠されていたオールセラミックですが、ジルコニアの登場によって今後その適用が広がっていくことでしょう。 (土井直洋)
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5036638 |