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救急医療システム/メディカルコントロール体制/救急医療の標準化
【きゅうきゅういりょうしすてむ/めでぃかるこんとろーるたいせい/き】

救急医療システム/メディカルコントロール体制/救急医療の標準化

●救急医療システム

 「119番通報」すると、地区の消防で情報を統括しているセンターにつながります。そこから最寄りの消防署に出場指令が出されます。最近では、この通報の段階で重症あるいは救出が困難と判断された場合には、ポンプ車も同時に出場させるP(PUMP:ポンプ車)―A(AMBULANCE:救急車)連携も行われています。
 救急隊は現場で傷病者の観察を行い、その結果から重症度・緊急度を判断し必要な応急処置を行います。東京都の例を図1:救急医療システムに示します。
 救急隊は判断した重症度・緊急度に沿って救急医療機関を選定します。重症度や緊急度が低い場合にはかかりつけ医に搬送するという選択肢もあるため、傷病者やその家族にかかりつけ医や搬送希望の医療機関を聞くこともあります。しかし重症度や緊急度が高いと判断された場合には、一刻も早く適切な医療機関への搬送が必要となります。
 一般に図2:3次救急対応の特徴のような重症度や緊急度が高い場合には、3次救急対応と判断され、近くの救命救急センター(あるいは地域の基幹病院)に搬送されることになります。


●メディカルコントロール体制

 最近、救急救命士の処置範囲が拡大される方向ですが、これのもとになるのがメディカルコントロール(MC)という考え方です。これはプレホスピタルケアの医学的な質を保証するために行われるもので、以下の2つがその基本です。

1)オンラインメディカルコントロール
 救急隊が、現場からいつでも迅速に救急医に指示、指導および助言を要請できる。

2)オフラインメディカルコントロール
 [1]実施した救急活動の医学的判断および処置の適正性について、医師による事後検証を行い、その結果を再教育に活用する。
 [2]救急救命士の資格取得後の再教育として、医療機関において定期的に病院実習を行う。

 2003年4月から、このような考え方に基づくメディカルコントロール体制が全国ではじまりました。


●救急医療の標準化

 昨今、救急の診療や教育が標準化するためのコース(講習会)が全国で展開されています。いずれも少人数制で実技中心のコースで、まず全身をA(気道)、B(呼吸)、C(循環)の順に評価し、それぞれに必要に応じた処置を行うというところからはじまります。これらはアメリカのものを導入、あるいは参考にして日本版として作成されたものです。アメリカでは他にもいくつものコースがあり、医療機関に勤務する際には必須とされているものもあるようです。

1)ACLS(Advanced Cardiovascular Life Support):
 アメリカ心臓協会の心肺蘇生、徐脈・頻脈、急性冠症候群、急性脳卒中などについてのコース。日本では日本救急医学会が上記のうち心肺蘇生の心停止に関する部分(asystole、Vf・VT、PEA)を、ICLS(Immediate Cardiac Life Support)を認定コースとして行っており、日本医師会も認定を始めています。小児に特化したPALS(Pediatric Advanced Life Support)もあります。

2)JPTEC(Japan Prehospital Trauma Evaluation and Care)、JATEC(Japan Advanced Trauma Evaluation and Care):
 いずれも日本救急医学会が認定している外傷のコースです。前者は救急隊が現場で行うもの、後者は医療機関の初期診療のコースです。いずれも意識状態や局所の所見にとらわれずに全身を評価し処置を進めていきます。つまり、1次評価(Primary survey)で全身を生理学的に評価し、2次評価(Secondary survey)で解剖学的に評価します。両者とも整合性がとられているため、外傷現場から救急初療室まで一貫した治療が可能となります。 (太田祥一




寺下医学事務所 (著:寺下 謙三)
「標準治療」
JLogosID : 5036575

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