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標準治療病名 > 眼科

糖尿病性網膜症
【とうにょうびょうせいもうまくしょう】

Diabetic Retinopathy:DR

 糖尿病性網膜症は、糖尿病の三大合併症(他は腎症と神経障害)の1つで、発症頻度が高いにもかかわらず自覚症状のないままに進行して、失明に至ることもある重大な病気です。日本では、成人の失明原因の第1位が糖尿病性網膜症です。糖尿病で高血糖状態が続くと、全身の細い血管に異常が起こり、毛細血管瘤(りゅう)や血管閉塞が生じて血液の流れが滞ります。圧力に弱くなった血管壁から血液中の成分が漏れ出したり、破綻して出血します。その範囲が広くなると、もろい新生血管ができ、さらに出血を繰り返します。
 網膜や硝子体に出血すると視力は低下しますが、長期にわたると新生血管緑内障や牽引性網膜剥離を合併し、治療しても重篤(じゅうとく)な視力障害を残します。インスリン依存型も非依存型も発病して5~10年で網膜症が出現するので、糖尿病の診断を受けたら自覚症状がなくとも必ず眼科の定期検査を受け続けて下さい。網膜症は、進行過程の順に、[1]単純網膜症、[2]前増殖網膜症、[3]増殖網膜症の3段階に分けられます。

[1]単純網膜症
 眼底に小さな白斑や出血、毛細血管瘤が出現しますが、自覚することは少ないです。ただし、網膜障害が中心の黄斑(おうはん)部に起こると(黄斑網膜症)視力低下が著しく、治療も難しいことがあります。

[2]前増殖網膜症
 単純網膜症が進んだ段階で、網膜の細小血管が拡張したり、閉鎖、走行の異常がみられ、軟性白斑も多数認めますが、視力障害はまだ少ないです。

[3]増殖網膜症
 前増網膜症がさらに進行して、新生血管が発生し硝子体中にも延び、硝子体出血が起きます。大量の硝子体出血を繰り返すうちに網膜面上に増殖膜を形成します。増殖膜が収縮した時に牽引性網膜剥離や網膜裂孔(れっこう)ができます。




寺下医学事務所 (著:寺下 謙三)
「標準治療」
JLogosID : 5035489

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