異所性妊娠(子宮外妊娠)
【いしょせいにんしん(しきゅうがいにんしん)】
Ectopic Pregnancy/Extrauterine Pregnancy
異所性妊娠(子宮外妊娠)は、受精卵が正常な着床部位以外に着床発育した状態で、時には激烈な下腹痛および出血性ショック症状を呈する、産婦人科領域の代表的な救急医療を必要とする疾患です。妊卵の着床部位により、卵管妊娠、卵巣妊娠、腹腔妊娠、頸管妊娠など(図)に分類されています。発生頻度は全分娩数の約1%(100人に1人)といわれており、その大部分が卵管妊娠です。危険因子として、子宮内膜症、骨盤内感染症(PID)、喫煙、排卵誘発剤、骨盤内手術既往、加齢などがあげられています。近年、性感染症(クラミジアなど)の増加や不妊患者に対する生殖補助医療の増加などにより、発生頻度が増えており、米国の統計ではここ10年間で4倍の増加を認めています。また生殖補助医療の普及により腹腔妊娠などの従来まれであった疾患も増加してきています。自然妊娠と生殖補助医療施行患者における部位別発生率を表1:自然妊娠と生殖補助医療における異所性妊娠の部位別発生率の違いを表1(表1:自然妊娠と生殖補助医療における子宮外妊娠の部位別発生率の違い)に示します。また従来は非常にまれ(3万妊娠に1人)であった子宮内外同時妊娠も、生殖補助医療施行患者では100妊娠に1人と、その危険性は著しく増加してきています。
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5035430 |