紫斑病性腎炎
【しはんびょうせいじんえん】
Henoch-Schonlein Purpura Nephritis(Nephritis Of Henoch-Schonlein Purpura)
ヘノッホ・シェーンライン紫斑病は、細静脈を中心に浸潤白血球の核崩壊像が目立つ壊死(えし)性血管炎です。ヘノッホ・シェーンライン紫斑病は、下肢伸側を中心に左右対称に出現する紫斑を特徴とし、消化器症状、関節症状を伴います。それに付随する腎炎様症状を示すものを紫斑病性腎炎といいます。
ヘノッホ・シェーンライン紫斑病は、1806年にヘーベルデンにより最初に報告されました。その後、1837年にシェーンラインがその典型的な紫斑と関節痛について報告し、ヘノッホがさらに腹痛、下血などの消化器症状および腎炎の症状を付け加えました。また、腎炎の病理的な類似性などからIgA(免疫グロブリンA)腎症と類似疾患ではないかといわれています。その他、両疾患の類似性を示唆するものとして、血清中のIgAや免疫複合体の上昇、IgA腎症患者の皮膚、腸管組織においてIgAの沈着が認められること、双子の兄弟で同じアデノウイルスに感染し、一人は紫斑病性腎炎に、もう一人はIgA腎症になった症例が報告されていることなどがあります。小児に好発し、とくに男子に多いといわれています。ヘノッホ・シェーンライン紫斑病の約30%に腎炎がみられるといわれています。
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5035145 |