肺結核
【はいけっかく】
Pulmonary Tuberculosis
肺結核は結核菌による肺感染です。若い人から高齢者まで年齢と関係なく発症します。結核を気づかずにいると、周囲の人にまで感染させ、多くの社会問題となります。肺の結核が結核全体の90%を占めています。
肺結核は痰の中に菌がいなければ、他人にうつる可能性はほとんどありません。また、菌を吸引しても100%結核になるというわけではありません。結核の恐ろしいところは、結核菌が比較的弱毒菌のため、初期には症状が軽く、気づいた時には病状がかなり進行してしまうことです。20代のタレントが発症した例などは記憶に新しいところです。定期的な健康診断を受けることをお勧めします。最近では、咳喘息咳などと誤解され、診断が遅れるケースがあります。2週間以上続く咳では、必ず専門の医療機関を受診すべきです。
ただ、近年の新規発症登録患者の増加は、高齢者で既感染で発病していなかった人が体力の低下などによって発症する症例が増加したためで、とくに近年、流行しているわけではありません。しかし、若い人ほど相当悪化するまで社会生活を送っているので、感染を拡大させる危険性があります。また、東南アジアなどの発症率の高い国からの移入によっても今後増加することが予測されます。
幸い、現在結核には多くの薬があり、十分に治る病気で恐れる必要はありません。しかし、早期診断と初期治療が非常に大切です。治療が遅れると、呼吸機能障害など後遺症が残ります。また、初期治療に失敗すると、薬の効きにくい結核菌(多剤耐性結核菌)などで再発を起こすこともあります。
| 寺下医学事務所 (著:寺下 謙三) 「標準治療」 JLogosID : 5035085 |