とりがい(活け)
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【すし手帳】 貝 >
左右とも殻が膨らんで全体にコロンと丸く、殻頂(殻の頂点)から腹縁に向けて40本ほどの放射状の筋(肋という)が走るなど、殻の色は別として形はアカガイに似ている。ただアカガイとは逆に低酸素状態に弱く、時に大量死することがある。一方で突然大発生する年もあったりで、入荷も値段もなかなか一定しない。
かつて東京湾では、良質のトリガイがたくさん獲れた。大型のものでは足(食用部分)の厚さが1・5㎝もあったといい、形と味のよさで知られた。湾内の浅瀬のほとんどが埋め立てられてしまって、残念ながら今は昔の話。
活けならつゆ気、蒸しなら甘さ
築地市場に入荷するトリガイでは、現在は愛知県産(写真2点とも)が最良という。特に4月?5月は身が大きく厚く、甘さが増して歯ごたえもよい。
半透明の淡い茶紫色に清涼感があふれる活けはつややかで、尖った足先にまで張りがある。やわらかい身を噛みしめれば、端麗な甘さとたっぷり含んだ独特のつゆ気がさわやかだ。
活き貝に塩を振ってさっとボイルした蒸し。歯にそっとあらがうやさしい歯ごたえと、のどにまでしみる、くせのない上品な甘さに驚かされる。
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【この辞典の書籍版説明】
「すし手帳」坂本一男 |
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