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南千住砂場
東京-五つ星の蕎麦

そばは江戸のものと考えがちだが、砂場のルーツは大阪にある。大坂城築城の際に資材置き場(砂場)の近くに和泉屋というそば屋があった。当時は屋号ではなく場所名で呼ぶことが多かったため、「砂場」と呼ばれていたという。

江戸に進出してきた時期は不明だが、嘉永元年(1848)に編纂された『江戸名物酒飯手引草』には6軒の砂場が掲載されている。この中にある「糀町七丁目砂場藤吉」が大阪から来た1号店といわれ、南千住砂場はこの流れを汲む店なので、砂場では一番の正統筋ということになる。

南千住砂場の創業は大正元年(1912)。現在の建物は、昭和29年に先代が近所の大工の棟梁と相談して建てた総檜造り、数寄屋風の木造建築で、荒川区の文化財に指定されている。

千本格子の窓や船底天井、家紋を刻んだ鬼瓦などに風格を感じるが、生鮮食品や惣菜の店が並ぶアーケードの商店街にあるためか“下町のそば屋”といった気さくな雰囲気がある。

現在暖簾を守るのは十四代目となる長岡孝嗣さん。

「下町の店ですから、昔は銭湯帰りにふらっと寄ったり、力道山のプロレスを観るために来るような近所の社交場でした」と語る。

調理場の奥にある製麺機は先代から使い続けているもので、今も毎朝、孝嗣さんが製麺機に向かう。

そば粉は国産で、微粒、中間、粗めの3種をブレンドし、全卵のつなぎと備長炭を入れた容器に寝かした水で練る。こうすることによって、なめらかな中にもそば特有の香りや舌ざわりが感じられるそばに仕上がるという。

本節と宗田節を使ったつゆは、やや辛口のキリッとした味。白くて細いそばとの相性もよい。濃厚なそば湯を口に含めば良質なそばの味を実感するはずだ。

うどんや冷や麦には、海水から自然に作ったフランス製の「セル マラン ド ゲランド」の塩を使うなど、老舗の名に甘んじない新しい挑戦も続けている。

  

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