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猪苗代湖
雑学大全2

福島県のシンボルとして全国に知られて名高い猪苗代湖。日本で四番目に広い湖で、磐梯山を湖面に映す美しい水面が印象深い。さぞや自然の恵みも豊かであろうと想像するが、美しい水の色に関係なく、実は魚がほとんど棲まない環境にある。実際に猪苗代湖にはウグイやフナぐらいしか魚がいない。水が美しいのに魚が棲まないというのはどういうことなのか。もちろん、工場廃液で汚染されているとか、化学物質が含まれているとかいうような物騒な話ではない。湖に魚が少ない原因は、稚魚の餌になるプランクトンが少ないからである。猪苗代湖は、「貧栄養湖」なのである。では、水質が悪いのではないかといいたいところだが、決してそういうわけでもない。その原因は、温泉の源泉と関係が深い。猪苗代湖に流入する長瀬川の最上流である硫黄川は、その名の通り、源流付近に中ノ沢・沼尻温泉の源泉があるため弱酸性になっている。徐々に薄められるとはいうものの、何せ安達太良山の火口付近から流れ出た弱酸性水なので、湖水の平均PHは四・九。プランクトンは、酸性に弱いため、この湖では繁殖できないのだ。餌がないのだから、もちろん魚は棲みにくいということになる。かつて、コイやウナギの養殖も進められたことがあったそうだが、結局うまくはいかなかった。「綺麗なバラには棘とげがある」という言葉があるが、猪苗代湖の場合、「綺麗な水には酸がある」なのだ。

  

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