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仁王像
雑学大全2

東京の大田区にある池上本門寺は、日蓮宗の開祖である日蓮聖人の終焉の地となった鎌倉幕府の御家人の屋敷跡に建てられた寺である。屋敷の主人であった池上宗仲が土地を寄進し、日蓮の弟子の手によって伽藍が設けられたのが最初という由緒を持つ。その寺が、太平洋戦争の戦火で山門と仁王像を焼失してしまった。そこで、池上本門寺は、一九八一(昭和五六)年の日蓮七〇〇年忌を前に、その再建を計画した。そのとき仁王像の制作を依頼した彫刻家が、後に文化勲章を受章する圓鍔勝三。彼は、制作にあたって仁王像のモデルを求めた。仁王像は、武器を持った半裸の金剛力士像であり、その盛り上がる筋肉や力を込めたときの肉体の変化を、よりリアルにするには、モデルがいたほうがよかったのだ。さらに作家は、本門寺が創建された時代の中世の日本人といまの日本人は骨格も体型も変わってきているからということで、「昭和という時代の仁王像」制作をめざした。そのとき、モデルに選ばれたのが、当時、異種格闘技で世間を騒がせていた、あのプロレスラーのアントニオ猪木だった。池上本門寺には、猪木の師である力道山の墓があった縁もあり、また、その力道山の関係で節分の豆まきにプロレスラーを招いたりしていたために、プロレス界と近しい関係があったからだという。仁王像は一九七八(昭和五三)年に完成、前年に完成していた山門に置かれ、日蓮聖人報恩事業を彩ったのだった。

  

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