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森?外
雑学大全2

たとえば、あなたがペンネームで小説を書いていたとする。すると、友人が勝手にあなたのペンネームで別の小説を執筆し、それが非常に高い評価を得てしまった。さて、あなたはどう思うであろうか。実は、それを地でいく文豪がいたのだ。それが森?外である。本名は森林太郎。石見国津和野藩主亀井家の典医の家に生まれ、一二歳で第一大学医学校(現・東京大学医学部)に入学し、二〇歳で卒業。陸軍軍医になり官費でドイツに留学し、陸軍医最高位の陸軍軍医総監と医務局長まで務めあげた。そんな立派な?外だが、実は「?外」は友人のペンネームを借用したもので、いわば借り物なのだ。彼自身は「観潮楼」という号を持っている。「号」とは、画家、文人、学者などが本名のほかにつける名前で、「雅号」のことである。わかりやすくいうならば「ペンネーム」のことである。一八九〇(明治二三)年に、留学時代の恋愛体験を下敷きにした小説『舞姫』を発表したが、そのときに、医者仲間で友人の斉藤勝寿の雅号「?外漁史」を拝借して「?外」と名乗ったといわれている。また、?外は一八九九(明治三二)?一九〇二(明治三五)年の小倉赴任中に「?外漁史」という蔵書印までつくっていたのだ。?外はその後も『ヰタ・セクスアリス』『雁』『阿部一族』『高瀬舟』など、次々と作品を送り出し、明治を代表する文豪となる。一方、森?外に「?外」という号を取られてしまい、あっという間に出世されてしまった斉藤勝寿は、それ以降「無名道人」と名乗ったそうである。

  

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