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助手席
雑学大全

クルマの運転席の隣を「助手席」と呼ぶが、隣に座ったからといってなにか助手らしきことをするわけでなく、ただ座っているだけだ。なのに「助手席」という言い方は、考えてみればおかしい。そもそも「助手」という呼称は不思議でならない。
運転席の隣を「助手席」と呼ぶのは、昔の習慣の名残である。
クルマが市道を走り始めた大正時代の頃には、運転免許を持っている人が少なかったため、車の運転は特殊技能で、運転手は高給取りだった。そのため、隣の席に見習いを乗車させて雑務をさせていた。これが最も有力な説である。
例えば、タクシーが登場したときは、じっさい運転手の隣に助手が座っていたという。助手を乗車させたのは、道案内や雑務をさせるためである。
道案内は現在の「ナビゲーター」と解釈すればよいが、雑務とは一体何だろう。
昔のクルマはエンジンを始動させるときにクランクをまわさなければならなかった。また、輸入外車は車高が高く、着物を着ている乗客の乗り降りを助ける人が必要だったのだ。さらに、乗客の荷物の積み下ろしを手伝ったり、バックするとき、後方で安全を確認したりするのが、助手が担当する雑務である。
これら数多くの雑務をこなす見習いは、運転手とはいわば師弟関係にあり、「助手」と呼ばれていた。その助手の乗る席が「助手席」と呼ばれるようになった。なるほど、これは説得力のある説である。
仮に運転手の隣に座って雑務をする助手を「弟子」と呼んでいたなら、いま頃は「弟子席」という言い方がひろまっていたことになるのかもしれない。

  

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