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重い球
雑学大全2

プロ野球で使う球は、コミッショナーに認定された公式球だから、一つひとつの球の重さの差はほとんどないといっていいくらいに正確だ。それを、解説者たちは「重い球」「軽い球」という表現を用いて、まるで一球の重さが異なるようにいう。「あんな重い球を投げられては……」「軽い球をバットの芯に当てたので、よく飛びました」というような用い方だ。こういうケースでの「重い」「軽い」は、バッターの側からの表現といってよく、ボールをバットにのせて運ぶときの感触からきていると受け止めればいい。ピッチャーの側、あるいは科学的にいうと、重い球というのはバッターに向かって投げた球の回転が少ない場合で、軽い球というのは回転が速いものをさす。回転が速い球はスピードも出やすく伸びやキレが加わるから、打者を惑わせることができる。うまくいけば空振りの三振だ。しかし、もしバットの芯に当たれば、ボールの回転が速いぶん推進力となって、飛距離のある打球になる。へたをすれば本塁打だ。反対に重い球は、回転は少ないだけにボール本来の重みがバットにかかり、たとえ芯にあたっても飛距離は出ない。微妙な変化球で望むところに打たせて、ゴロに打ち取ることができる。ピッチャーはこの両方を技術によって投げ分けられれば最高なのだが、それはまれなケースだ。体力、投球法などでそれぞれのピッチャーの球質はどちらかに偏りがちだ。また、それを承知で投手と打者が駆け引きをしているのを読み取るのが、野球観戦の醍醐味でもあるといえる。

  

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