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永坂更科 布屋太兵衛
東京-五つ星の蕎麦

創業は今から210年余り遡る寛政元年(1789)。現在は麻布十番商店街の中心に立つ近代的なビルだが、入り口の重厚な古い看板が老舗の歴史を物語る。

初代布屋太兵衛が、江戸麻布永坂(現在の港区麻布永坂町)に「信州更科蕎麦処 布屋太兵衛」の看板を掲げたのが店の始まり。布屋太兵衛の祖先はもともと布を商う太物商であり、領主の保科家に招かれて江戸屋敷に住むようになった。代々そば打ちに長じていたことから、時の領主のすすめにより太兵衛が出店。故郷の信濃国更級郡の「更」と保科家の「科」を賜り、地名の「永坂」をとって屋号を付けたという。

店の看板である更科そばは、玄そばの甘皮を取り除き、芯の部分だけを使って贅沢に作る。上品でのど越しのよいそばは、江戸城や大名屋敷でも愛され、大奥御用となっていたことから「御前そば」の名が付いた。現在は、身がしまって粒の大きい北海道産のそば粉を使用。更科そばのほか、味と香りが強い生粉打ちそば、更科粉に抹茶を混ぜたお茶切りそばなどもある。

冷たいそばには、甘汁と辛汁の2種類のつゆが出される。かえしの醤油には無添加の一番絞りだけを使い、砂糖やみりんと煮て、地中に埋めた壺で約4週間かけて熟成させる。これに厚削りの鰹節でとったダシ汁を加えたつゆは、濃厚で味わい深い。更科そばにはこくのある甘汁が、生粉打ちそばにはさっぱりとした辛汁が合う。好みに合わせて混ぜるのもいい。

特上の胡麻油で揚げたエビが2本のった天ぷらそばや、関西風の特製つゆで食べる納豆ちらしと鮭ちらし、桃の節句の時期だけの五色の変わりそばなど、種ものや季節メニューも豊富。御前そばやそば寿司、天ぷらなどがセットになった「そば会席」(要予約)もある。

酒肴も揃っているから、そばを待つ間に一献傾けるのもいいだろう。人気があるのは、そばつゆを使った玉子焼やふっくらと軟らかい蛸の桜煮、ジューシーな合鴨の塩焼きなど。これら料理にも老舗の確かな技が生きている。

  

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