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ヤンバルクイナ
雑学大全2

夏も終わりに近づいた夕暮れ時、昼間のセミとはちょっと違う、どこか涼しげな鳴き声が聞こえてくることがある。「カナカナカナ……」。そうヒグラシである。このヒグラシは、同じ日本でも、南の島々では確認されることは少なく、とくに沖縄本島はその分布域には含まれていない。奄美大島から沖縄本島にかけての一帯は中部琉球地帯といわれ、生息する動植物の種類も、本州や九州とは異なることが多い。しかし、古い文献などでは、沖縄本島にもヒグラシがいたとされているという。「カナカナカナ……」という鳴き声がその根拠だったようだ。ヒグラシはいないはずの沖縄本島で、なぜ昔の人はヒグラシの鳴き声を聞いたのか。実は、それは現在の天然記念物、ヤンバルクイナの鳴き声だったのである。ヒグラシ同様、夏から初秋にかけての夕暮れどきともなると、複数の個体がまとまり、ヒグラシの合唱のようにけたたましく鳴くという。一九八一(昭和五六)年に発見されるまでは、この鳴き声がヒグラシのものと勘違いされていたと考えられている。なお、沖縄島北部に生息するヤンバルクイナは、一九八五(昭和六〇)年から二〇〇〇(平成一二)年までの一五年間で、その生息域面積が約二五パーセント減少、生息数も約半減したと考えられており、絶滅危惧種にあげられている。

  

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