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フカヒレ
雑学大全

中国では魚翅と呼ばれるフカヒレは、ツバメの巣に次ぐ中国料理の高級食材だ。
名前のとおりサメのヒレで、白翅と黒翅に大別され、白翅はメジロザメ、マブカザメ、黒翅はアオザメ、ヨシキリザメ、ネコザメから取る。一尾のサメからは、背びれ一枚、胸びれ二枚、尾びれ二枚が取れ、尾びれが最もよいとされる。希少価値は高い。
フカヒレは軟骨の部分だからそのもの自体には味はないが、ほかのものの味をよく受けつけるのでスープに入れるとおいしい。濃厚な味を楽しむなら、醤油味の煮汁で煮込んだ姿煮「紅焼」がベストだ。滑らかで柔らかく、弾力もある独特な舌触りが素晴らしい。
そんなフカヒレも、食されるようになってまだ歴史は浅い。珍味としてもてはやされるようになったのは、清代の中頃だ。
明代、一五九六年の李時珍『本草綱目』に、「非常においしい」「南方人がこれを珍重する」とある。しかし、同じ時期に書かれ多くの料理と調理法を紹介した高濂の『遵生八牋』にはフカヒレに関する記述はないから、まだ広い地域で食べられてはいなかったようだ。
高級食材として知られてからまだ四〇〇年前後。なにしろ、四〇〇〇年といわれる中国の歴史からいえば、最近のことといえる。
清の時代にはよく食べられるようになり、西太后に振り回され、毒殺されたともいわれる光緒皇帝は大変なフカヒレ好きだった。ラスト・エンペラー溥儀も食べたという。
清末には、高級な宴会はメイン料理の名で呼ばれていた。最高だったのが、「満漢全席」ともいわれた豚の丸焼きがメインの「焼席」。これにはツバメの巣もフカヒレも出た。フカヒレがメインの「魚翅席」も高級宴会である。
中国語の「魚翅海参」とは「美食三昧」という意味だ。「海参」は「ナマコ」のことである。

  

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