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トカゲ
雑学大全

中央アメリカの密林地帯に住むバシリスクというイグアナ科のトカゲは、地上、樹上、水上、そして水中を自在に動き回ることができるという、まるで忍者のような生き物である。
バシリスクは、水のそばに好んで棲み、体長は五〇〜八〇センチほどで、その半分以上が尾である。大きさのわりに身が軽く、びっくりするような事態に遭うと、尾を持ち上げて立ち上がる。そして、バランスをとりながら、二本足で跳びはねるように走る。ちょっとした距離なら、秒速四メートルという素早さで、さっさと移動してしまうのである。
また、エサとするのは昆虫や小動物、果実などであり、獲物を追って木に登る。木の上にじっとしていることも多い。
そして、驚くべきことに、バシリスクは水の上を、二本足で走ることができるのである。どうして、沈んでしまわないのだろうか?
それは、後ろ足の指にウロコがあり、指を開いて足の面積を大きくすることができるからである。池などに平たい石を水平に投げ、連続して跳ねさせる「水切り」という遊びがあるが、あれと似た原理で、水の表面張力に乗って、すべるように走るのである。
水の上を走る距離は、長くても一〇メートルほどだが、いったん天敵の目の前から逃れると、今度は水中に潜ってしまう。バシリスクは泳ぎも巧みで、広がった後ろ足を水かきのように力強く動かし、長い間、水の中にいることができる。これでは、天敵もあきらめざるをえない。
この能力のおかげで、バシリスクはめったにほかの動物にはつかまらない。人間でも、捕獲するのは困難である。
雄の後頭部には、トサカのような飾りがあり、背中から尾にかけても、ヒレのような突起がある。まるで小さな恐竜のような姿で、大きな尾をふり立てつつ動き回るバシリスクを見た人は、さぞかし仰天したことだろう。バシリスクという名は、伝説の怪物バジリスクにちなんだものだが、誰もがうなずけるネーミングである。

  

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