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ガイドウェイバス
道と路がわかる事典

大都市で年々深刻さを増している交通渋滞。それを緩和させる手段の一つに、マイカー通勤から公共交通機関への乗り換えの促進がある。だが、それには公共交通機関の、より一層の整備が必要である。しかし、地下鉄の建設には莫大な費用を要するため、採算のとれない地域に簡単に通すこともできない。ならば乗合バスは? ということになるが、バスは道路渋滞の影響をモロに受けるため、目的地までの時間が読めない。朝夕のラッシュ時は、もはや公共交通機関の役割を果たしていないというのが実情である。
地下鉄より安い建設費で、地下鉄並みの高速性と定時性が実現できるもの、それがガイドウェイバスなのだ。平成一三年三月に、日本初の新交通システムのガイドウェイバスが名古屋に誕生した。高架で建設されたバス専用軌道を、時速六〇kmの高速で走行するというものである。
名古屋北東部の玄関口である東区大曽根と、人口の増加が著しい守山区中志段味(なかしだみ)間約一二kmを結ぶ路線で、大曽根から途中の小幡緑地までの約六・五kmが高架のバス専用軌道。そこから一般道路に出るが、それを乗り換えなしで走行するのである。
ガイドウェイバスといっても、見たところ普通の乗合バスと何ら変わるところがない。だが、このバスには特別な装置が装着されているのだ。
専用軌道には二本のレールが敷かれている。だが、このレールの上を走るわけではない。前後輪の脇から突き出した小さな車輪状の案内装置がレールに接触し、その誘導で走る。運転手はハンドルを握る必要はなく、アクセルとブレーキだけの操作でよいのだ。
専用軌道から一般道路に降りると、案内装置は格納されて普通の乗合バスに変身する。しかし、一般道路にも新しいシステムが取り入れられ、バスの走行を助けている。その新しいシステムとは、公共車両優先システム(PTPS)のことである。バスが信号に接近すると、バスから発信する電波で感知器が作動して、青信号の時間を延長させたり、赤信号の時間を短縮したりして、バスを優先的に走行させるようにコントロールしてくれるのだ。
ガイドウェイバスの利点は、地下鉄に劣らぬ高速性と定時性、地下鉄にはない融通性にある。それに、地下鉄の三分の一以下という建設費の安さから、需要がさほど見込めない地域でも採算がとれる。名古屋の新交通システム、ガイドウェイバス「ゆとりーとライン」は、渋滞する一般道路を尻目に高速で走る。見晴らしがよい、乗心地もよいと人気上々だ。
外国では普及の進んでいるガイドウェイバスだが、今のところ日本では唯一名古屋だけ。だが、やがては全国の各都市にお目見えするだろうと思われる。

  

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