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エルサレム
雑学大全

エルサレムは、地中海とヨルダン地溝帯に挟まれた山地の中央部(ユダヤ丘陵)の岩尾根に位置し、糸杉やオリーブの老樹が散在する街である。地中海岸と死海の谷を東西に結ぶ道が通るので、エルサレムは古来から交通の要衝であった。
現在、エルサレム旧市街と呼ばれる区域は、ローマの支配期にほぼ今の規模になったという。二〇〇三年三月のイスラエルの統計では、エルサレムの人口は七八万人。この地は、今ではユダヤ・イスラム・キリスト三大宗教の聖地として崇められると同時に、紛争の絶えない悲劇の地になってしまった。
歴史を少しさかのぼってみよう。前一〇世紀頃にダビデ王(ソロモン王の父)が首都と定めて以来、エルサレムはユダヤ教徒にとって聖なる土地なのである。何度も異教徒に征服された歴史があるが、今日でもソロモン神殿の遺構である「嘆きの壁」の前では、熱心に祈りを捧げるユダヤ教徒の姿が見られる。
イスラム教徒にとっては、預言者ムハンマドが昇天した神聖不可侵の「神殿の丘」(アル・アクサ・モスクと岩のドームがある区域)がある。天国と地獄との接点の地なのである。
キリスト教徒にとっては、イエスが十字架を背負って歩いた苦難の道や十字架上の死をむかえたゴルゴタの丘(聖墳墓教会が建てられている)がある。イエスの死と復活の土地なのである。
このように半径数キロ以内のところに、シナゴーグ(ユダヤ教の礼拝所)・教会・モスク・記念碑・遺構などが二六か所も密集しているのが、エルサレムなのである。そして、「嘆きの壁」が、イスラム教徒が「高貴なる聖所」と呼ぶ「神殿の丘」の西側にあたるというので、紛争の原因の一つになっている。
長期化するイスラエル・パレスチナ紛争の和平に関するニュースをメディアが連日のように報じているが、その紛争の背景には、人間の精神や宗教に関する極めて非妥協的な対立がある。
一日も早く、三大宗教の聖地にふさわしい、平和で美しいエルサレムに生まれ変わってほしいものだ。

  

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