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ばらん
雑学大全2

スーパーなどでマグロの刺身を買うと、ビニールの笹の葉様のものが添えられている。これを「ばらん」という。最近は、パックの底の部分に模様のように刷り込んであるものもある。なぜ、そこまでして緑色にこだわるのかというと、単に色が綺麗で見栄えがいいからというだけではない。これは色彩による視覚トリックなのだ。笹の葉を添える目的は、マグロの色をより鮮やかに生き生きと見せることだ。新鮮なマグロだな、おいしそうだな、と感じてもらうために、緑の葉を入れるのだが、緑の葉が綺麗だからではなく、緑がマグロの赤の反対の色相の色だからだ。これを専門用語では「補色」というのだが、たとえば、青に対してはオレンジ、黄緑に対しては紫である。どの色にも補色はある。そして補色関係にある色は、互いを引き立たせる。マグロの赤の場合、それを最も引き立たせる色が緑なのである。たとえば、マグロを赤いパックの上に置くとどうだろう。印刷された赤色と比べるとマグロの赤色のほうが鮮やかではないため、マグロがくすんで見える。そこで、補色である緑の上にマグロをのせてあげると、元の赤色よりも鮮やかに見えるのだ。「そんな気がする」のではない。私たちの視覚がそう反応してしまうのだ。その反応を簡単な実験で確かめることができる。何か赤い物と真っ白い紙を用意していただきたい。まず、その赤い物を一五秒間じっと見つめる。その後、さっと目線を白い紙に移して見つめていると、その真っ白な紙に、直前まで見つめていた赤い物の形が緑色で浮かび上がってくるはずだ。これは人間の目が一つの色を見たときに自然に補色で補おうとする脳の働きである。逆に物体を緑色にすれば、白い紙に浮かび上がってくる色が赤になる。今度マグロを買ったときは、ぜひ、ばらんを付けたり取ったりして比較していただきたい。たがいに引き立たせているので、ビニールの笹の葉も、それだけで見るよりもマグロと一緒に見たほうがより鮮やかに生き生きと映っているはずだ。

  

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