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ご馳走さま
雑学大全2

「ご馳走さま」という言葉は、「馳走」という漢語から出たもので、「馳走」は本来「駆け回る」という意味である。つまり、人をもてなすためにいろいろと動き回ってくれたことに対して礼をいったものなのだ。日本料理における職業的料理人の最初は、宮内省内膳司である。その任務とは、中国伝来の食い合わせに基づいて食事を調理し、天皇の食事を毒味することだった。その後は庖丁人として宮廷外でも名声を得た人々があり、その逸話が『今昔物語集』などに伝えられているが、いずれも見事に材料を切るかが関心の的だったらしい。どういうわけか、酒宴たけなわのときに柚を切って見せるのが酒興を彩る肴だとされていて、規定に基づいた正しい切り方をするのが名誉の庖丁人とされていたようだ。これは、もちろん上流階級の話であるが、室町時代になると、こうした背景のなかから宮廷専属の料理の流派が成立し、各流派は前代以来の風潮にのって、こぞって故実と称して秘伝、奥義などを捏造した。魚や鳥に身分の高いものと低いものなどの優劣をつけ、切り方や食べ方に正否があるという約束事までも設定し、味にはまったく関係のないショーを料理秘伝の最奥義とし、それを演じることが料理人にとって無上の名誉とされるようになったのである。「馳走」が手厚いもてなしの意味に使われるようになったのは、この頃からといわれている。このことから、本来は「お疲れさま」の意味も含んだ言葉であることがわかる。何気なく使っている「ご馳走さま」は奥が深いのだ。

  

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