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O-157
雑学大全2

感染源だと濡れ衣を着せられ、かいわれ菜が市場から締め出されて、生産業者の悲鳴がニュースとなったのが一九九六(平成八)年。「O-157」騒動である。被害者が給食を食べた児童だっただけに、集団での大量感染となり、死者まで出たことが騒ぎをより大きなものにした。それ以降も大きなニュースにこそならないが、O-157による患者は毎年二桁を超え、不幸にも死に至った例もある。O-157というのは、大腸菌の一種。大腸菌というのはどこにでもいる菌で、人間の手を顕微鏡で見れば必ず見つかるというほどありふれたもの。ただ、O-157の恐ろしいところは、体内に入ると毒性を発揮する点である。大腸菌は、名前の通り家畜やヒトの体内に存在する菌で、たいていのものは無害だが、ヒトの体内で下痢を起こさせたり、毒性が強く、出血をともなう腸炎や溶血性尿毒症症候群などを引き起こす病原性大腸菌がいる。O-157もそのなかの一つで、ヒトの体内でベロ毒素を産生する「腸管出血性大腸菌O-157」というのが正式名称。数多くの種類がある大腸菌は、その表面にある抗原によりO抗原とH抗原に分けられるが、O-157は一五七番目に発見された抗原を意味している。最初に発見されたのは一九八二年で、アメリカのオレゴン州とミシガン州におけるハンバーガーによる食中毒事件がきっかけになっている。ほかにもローストビーフやステーキが原因の発症もあるが、菌の溶け込んだ水で栽培された野菜でも病源になりうる。ただ必要以上に恐れることはなく、十分に洗って加熱をしっかりすれば菌はなくなるという。O-157は、現在一八〇に分類されているうちの一つで、ほかにも一七九のO抗原の大腸菌が存在する。そのうち病原性の高いのは、O-26、O-111、O-128などである。

  

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