MENU
    全辞書一括検索 by JLogos

1件Hitしました

1から10件/1件中

▼肝や胃袋などが醸し出す複雑な味わい
旬のうまい魚を知る本

胃袋も肝も利用するとは、さすが漁師のおかみさんたちだ。「肝を使わない味噌ツユなんて、カジカ料理でないですよ」という声もあった。鍋が煮立ち始めると、たちまち馥郁(ふくいく)とした香りが厨房にただよった。この香気こそ、味にうるさい浜の人たちを夢中にさせる理由の一つにちがいない。ツユをすすれば豊潤な風味が舌と鼻先を襲い、骨やヒレをしゃぶれば、不思議な旨味におそれいってしまう。肝を口に含むと、怪しくも官能的な味にただ圧倒されるばかりだ。これでは本当に箸でつつきすぎて、鍋を壊してしまいそうだ。ナベコワシの味噌ツユはそれでも、「コッコ(卵)は鍋に入れるのはもったいなくて、ここらの人は醤油漬けにして楽しんでいますよ」だそうだ。

  

             × 閉じる

収録辞書全リスト