生物から学ぶ知恵「バイオミミクリー」
近年、バイオミミクリーあるいはバイオミメティクスという言葉が工学の分野でよく使われる。
訳語は「生物模も倣ほう」だが、この漢字からわかるように、生物の姿や生態などから、人に役立つさまざまな技を盗み取ろうとする技術である。
その例を「ヤモリテープ」で見てみよう。
ヤモリテープは日東電工が開発したものだ。
ヤモリが壁を自由に上り下りできるしくみを調べる中で、足にミクロの繊維が無数に生えていることを解明した。
その繊維が微小な壁の表面の隙間に入り込むことで、ガラスの壁すらも簡単に移動できるのだ。
そこで、ミクロの繊維を無数に植えつけたテープを作成したところ、ヤモリの足のようにどこにでもくっつき、すぐに剥はがせることが確かめられた。
こうして「ヤモリテープ」が完成したのである。
この例からわかるように、生物には学びきれないほどの知恵と情報が詰まっている。
これからの発展が楽しみな分野である。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術vol.2」 JLogosID : 8567161 |