プラズマクラスターイオン
インフルエンザがはやる頃、いつも話題になるのが空気清浄器である。なかでもいちばん人気はプラズマクラスターイオンだ。
家電製品の売り場に行くと、「イオン」という言葉が目につく。
ピコイオン(東芝)、イオンミスト(日立)、ナノイー(パナソニック)、プラズマクラスターイオン(シャープ)など、イオンがつく言葉が空気清浄器やエアコンなどのコーナーで踊っている。
イオンとは電気を帯びた原子や分子のことだが、イオンを利用した除菌のしくみを見ると、いずれも共通している。
「OHラジカル」というイオンを生成することだ。
このイオンが菌やウイルスを取り囲み、水素を奪い取って菌の活動を抑制したり破壊したりする。
各社の違いは、「OHラジカル」イオンの形態である。
そこで、イオン発生家電として最も人気の高いシャープのプラズマクラスターイオンについて、その作用の流れを見てみよう。
プラズマクラスターイオンとはイオンの集合体のこと。
高圧放電によって空気中の水分子を分解し、酸素イオンと水素イオンのクラスター(集合体)を作る。
作成されたクラスターは空中に浮遊する菌やウイルスに付着する。
これらは微小なため、電気を引き寄せやすいからだ。
付着したプラスとマイナスのイオンは菌やウイルスの表面で反応して「OHラジカル」に変化する。
「OHラジカル」とは、簡単に言えば水分子から水素を一つ抜いた状態のマイナスイオンである。
これは活性酸素の一種であり、菌やウイルスに反応して破壊する。
こうして、空中に浮遊する有害物質を除去するのである。
ちなみに、「OHラジカル」自体は水素(H)と結合して水(H2O)になる。
このしくみからわかるように、菌やウイルス以外でも有機物の微粒子であれば、「OHラジカル」を生成するイオン発生器は有効である。
ニオイや花粉の分解・除去にも効果があるのだ。
他社のイオン製品を見てみよう。
例えば「ピコイオン」「イオンミスト」「ナノイー」は水から直接OHラジカルを作り、ウイルス等に付着させて破壊する。
「プラズマクラスターイオン」とは、イオン発生の方法が異なるだけだ。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」 JLogosID : 8567070 |