制汗・制臭スプレー
女性だけでなく、男性も汗のニオイや体臭を気にする時代になっている。デオドラントグッズの売れ行きは好調のようだ。
「汗は男の勲章(くんしょう)」などと、汗のニオイが男のシンボルとされた時代があった。
しかし、今は「汗臭さ」が疎(うと)まれる時代になった。
そんななか、「デオドラントグッズ」が男性に人気だ。
デオドラントグッズとは、汗を抑えたり、汗のニオイを解消したりする商品のこと。
汗を抑える「制汗(せいかん)」、汗のニオイを取る「制臭(せいしゅう)」に大別されるが、多くの製品は両者を備えており、その区別は不明確である。
形態としては、ロールタイプ、クリームタイプ、スプレータイプの3種がある。
ここでは人気の高いスプレータイプを調べてみよう。
まず「制汗」のしくみについて見てみたい。
スプレーならば、それを吹きつけた部分が冷却されるので、必ず制汗効果は生まれる。
そこで、商品の売りとしては、プラスアルファが求められる。
いかに汗腺に働きかけて発汗を抑えるかという工夫が商品のセールスポイントになるのだ。
例えば、スプレーに混ぜられた成分が汗腺(かんせん)に入り、直接発汗を抑える、という商品もある。
次に「制臭」を見てみよう。
意外かもしれないが、人の汗自体にはニオイがない。
皮膚の常在菌が、汗を食べて繁殖する際に出す分解物が臭うのだ。
そこで、ニオイを出しやすい脇の下などを殺菌すれば、汗のニオイは少なくなる。
さらに、出された分解物を浄化してもニオイはなくなる。
人気があるのは、銀イオンを含ませた商品である。
銀イオンは人には無害で、殺菌や浄化の効果が強いからだ。
現代の日本人はニオイを抑えることに熱心である。
実際、デオドラント商品でいちばん売れているのは「石けんの香り」で、たいへん控えめな香りだ。
フランスなどに目を転じると、ニオイを楽しみ、積極的にアピールする文化がある。
男性も香水をつけるのが当たり前なのが、その一例である。
日本も近い将来、「制臭」ではなく「発香」の文化が普及するかもしれない。
そのとき、制汗スプレーの香りとしてどのようなものが好まれるのだろうか。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」 JLogosID : 8567027 |