FM放送とAM放送
ラジオ放送には、FM放送とAM放送があるが、FMのほうが音質がいいのはなぜなのだろう。
放送の世界ではデジタルたけなわの現代だが、アナログで頑張っているものがある。
ラジオ放送だ。
災害にも強く、深夜族の若者にも人気だ。
ラジオ放送には、FM放送とAM放送がある。
どう違うのだろう。
大きな違いは、次の三つである。
最初に挙げられるのは変調方式である。
音声は物理的にいうと音の波(音波)だが、そのままでは放送電波に変換できない。
音波の周波数が電波の周波数に比べて、あまりにも小さいからだ。
そこで、音波を電波に変換するのではなく、サーフィンのように電波の上に乗せて放送する。
これが変調である。
乗せる電波を搬送波(はんそうは)という。
AMとFMとはその変調の方式名だ。
AMとは振幅(しんぷく)変調を、FMは周波数変調を略したもの。
その言葉通り、AMは音波を「搬送波の振幅の変化」で表現し、FMは音波を「搬送波の周波数の変化」で表現する。
雑音電波はおもに電波の振幅に影響する。
したがって、AMの電波は雑音の影響をもろに受けることになる。
これが、FM放送のほうが音質のいい理由の一つだ。
二つ目の違いはチャンネルの幅である。
FM放送のほうがAM放送よりも広い設定になっている。
放送情報を水にたとえると、チャンネルはその水を送るパイプにたとえられる。
この比喩(ひゆ)を用いるなら、FM放送のほうがAM放送よりもパイプが太いのである。
そこで、FM放送のほうがAM放送よりも原音を忠実に再現できることになる。
三つ目の違いは、一部を除いて現在のFM放送がステレオ放送、AM放送はモノラル放送、ということだ。
FM放送のほうが臨場感を伝えられるのはこのためである。
ステレオ放送は左右の音声を主信号と副信号に分け、副信号はさらに副搬送波に乗せてから搬送波に乗せる。
主信号は客室に、副信号は車に乗せ、まとめてフェリー(搬送波)に乗せて送るようなものである。
こうして、左右の音声を混線させることなく放送できるのだ。
【執筆・監修】
中経出版 「雑学科学読本 身のまわりのモノの技術」 JLogosID : 8567011 |