【東京五つ星の鰻と天麩羅】泥鰌の名店厳選5軒 > 墨田区
ひら井
【ひらい】

ほろっと苦い、名物くりから焼き

明治36年(1903)の創業以来現在まで、変わらず天然どじょう一本で商いをつづける。扱うどじょうは青森・茨城・千葉県産など。ところが3代目当主の平井太朗さんは、ちょっとユウウツそうな顔でこう話す。
「昔は、産地まで指定して問屋に注文したものなんですが。今は米を育てるとき、田んぼに化学肥料を撒くし、冬に水を張らなくなったでしょう。だから田んぼにどじょうが住めないんですよ。数が激減して、天然どじょうの確保は大変です。うちもそろそろ、輸入の天然ものか国産の養殖ものかなぁ」
さて、そんな貴重な天然どじょうを使う当店の名物が、どぜうくりから焼きだ。開いて頭と骨、肝と腸を残して串を打ち、たれにつけてこんがり焼いたもの。独特の苦みが日本酒によく合う。つまみならどじょうの天ぷらもいい。以前はどじょうひと筋だったが、今では「どじょう嫌いが増えたから」と、きす、あなごなど魚介の天ぷらもいろいろそろう。
![]() | 東京書籍 (著:見田盛夫/選) 「東京五つ星の鰻と天麩羅」 JLogosID : 14070795 |