【東京五つ星の鰻と天麩羅】天麩羅の名店厳選52軒 > 江東区
満る善
【まるぜん】

仲睦まじい夫婦が営む

昭和38年3月に父親が他界したとき、榎本俊英さんは20歳だった。「父が始めた店でしたが、私は手伝うこともなく、高校を卒業してサラリーマンになっていました」
もともと料理を作ることは好きだったため、一念発起して会社を退職し、「一から」と心に決めて和食全般の修業を開始した。「5年かかりましたよ。その間、店は母がやりくりしてくれました」。昭和43年、榎本さんは2代目として跡を継いだ。
店は今では珍しくなった6軒続きの長屋。小綺麗とはいえないが、庶民的な雰囲気が懐かしく、壁に掛かるすすけた品書きにも味わいがある。天丼700円、上天丼1000円、日本酒350円と、値段は何とも良心的。まぐろのぬた、柳川鍋など酒の肴にいい一品料理も揃っている。
初代の志を受け継いで、榎本さんは毎朝、オートバイで築地へ買い出しに行き、長年の経験を生かして下ごしらえに手間をかける。ともに働く奥さんの敏子さんとの息もぴったりだ。
![]() | 東京書籍 (著:見田盛夫/選) 「東京五つ星の鰻と天麩羅」 JLogosID : 14070787 |