【東京五つ星の鰻と天麩羅】天麩羅の名店厳選52軒 > 千代田区
神田 はちまき
【かんだ はちまき】

タネも揚げ方も江戸前

神田古書店街の1本南側のすずらん通りにあって、昔ながらの面影を残す構えが目を引く店。昭和6年(1931)に神田富山町で開業し、戦後、この場所に移ってきた。戦災を免れた建物を改装を重ねながら大切に使いつづけており、どっしりとした造りの店内には風格が漂う。
初代の青木寅吉さんが東京作家クラブを後援していたことから、昭和20年代には毎月この店で会合が開かれ、多くの作家が訪れた。店の壁に貼られた当時の写真や、江戸川乱歩、戸川貞雄ら錚々たる名前の見える色紙が往時を物語っている。
店を切り盛りするのは2代目の文雄さん、邦子さん夫婦。油は白絞と胡麻を7対3で使う。衣をたっぷりつけて揚げる天ぷらは色が濃く、甘からず辛からずの天つゆがよく染みてご飯に合う。きす、穴子、めごち、青柳など、築地で求める食材は江戸前が中心。定食も天丼もボリュームがあって値段は手ごろなところも、サラリーマンや学生の多い下町の店らしい。
![]() | 東京書籍 (著:見田盛夫/選) 「東京五つ星の鰻と天麩羅」 JLogosID : 14070745 |