【東京五つ星の鰻と天麩羅】鰻の名店厳選40軒 > 中野区
小満津
【こまつ】

京橋の名店の技を受け継ぐ

青梅街道から少し外れた住宅街に建つ、夫婦で切り盛りする小ぢんまりした店。かつて北大路魯山人らが通い、京橋にうなぎの小満津あり、と名を馳せた名店の主人が、現当主・前田治雄さんの祖父にあたる。一時は閉めたその店の名を惜しんで、二十数年前に現地に復活させた。
「こんな頑固な人、見たことない」と奥さんの恭子さんが笑うほど、うなぎに対する当主の姿勢は厳しく、時には入荷したうなぎの3割を「気に入らない」と捨てていたこともある。
「あまり太いうなぎは脂が強すぎて風味が負ける。細めのほうが味がこまやかですね」。一匹一匹の性質を見極めて蒸し時間を5分~数十分の間で変え、最高級の紀州備長炭で焼く。細心の手間をかけ、たれはあっさり上品なうな重は、匂いもつやもくっきりと、ひと口噛めば身はホロホロととろけるようだ。
これくらいの席数(22席)が精一杯、と語る前田さん。素材選びから調理まで、この手間のかけ方なら無理もないところ。
![]() | 東京書籍 (著:見田盛夫/選) 「東京五つ星の鰻と天麩羅」 JLogosID : 14070737 |