【東京五つ星の鰻と天麩羅】鰻の名店厳選40軒 > 台東区
色川
【いろかわ】

江戸っ子店主の心意気

創業文久元年(1861)の老舗の6代目当主は、お祭り好きの江戸っ子・色川正則さん。「客からカネもらうんだ、うまいもん出さなきゃ。まずかったら客に失礼だ」
毎朝4時30分。色川さんは自転車で南千住や築地などの問屋を回り、自分の目にかなったうなぎだけを仕入れてくる。仕入れるうなぎは意外に、みな一様に細い。「うちのうなぎは昔から細いよ。細いほうが、脂肪が少なくて万人向きなのさ」
たれは代々の作り方で作り、つぎ足して使っている。「うなぎをたれに浸けるとき、脂がたれになじむんだ。客が多い店ほどうなぎをたくさん焼くだろう。たくさん浸けるほど脂がなじんでたれがうまくなるから、その分うなぎもおいしくなるんだ」
うなぎは注文を受けてから、色川さんがみずから客の前で、大きな団扇を片手に備長炭で焼く。仕事が毎日楽しくてしょうがないという色川さん。「店主になって30年以上経つけど、今も修業中だな。まだまだうまいものをつくれると思うよ」
![]() | 東京書籍 (著:見田盛夫/選) 「東京五つ星の鰻と天麩羅」 JLogosID : 14070726 |