富士山②
【東京雑学研究会編】
§富士山の山頂は誰のもの?
雪を頂く富士山の姿は本当に美しい。この頂上には、九つの峰が突き出ており、中でも剣ケ峰は有名で三七七六メートルの高さを誇る。富士登山をする人でも、なかなかそこまで登る人は少ないということである。
さて、この富士山の頂上であるが、ここは一体どこが所有するものなのだろうか。
富士山の場合は、八合九勺から下は静岡県側が国の所有、山梨県側が県の所有となっている。では、八合九勺から上はどうなっているかというと、これは浅間神社の土地になっている。
さて、この浅間神社とはどういう神社なのだろうか。
浅間神社は、正式には富士山本宮浅間大社という。噴火する富士山の凄まじさを神にみたてた古代信仰が発端となった神社である。噴火により国が荒れたために、時の天皇が、その御霊をしずめるために、麓に建立したのが最初である。
ここでは、浅間大神、またの名をコノハナサクヤヒメの命を祀っている。全国に一三〇〇以上あるという浅間神社の総本宮は、現在富士市にあり、富士山の山頂の地主でもある。ちなみに山頂にも社が置かれている。これは、一一四九(久安五)年に末代上人が富士山頂に建てたものである。
浅間神社では、七月一日にお導開きという、富士山の山開きも担当している。まさに、富士山のための神社といっても過言ではない。
一九七四(昭和四九)年、富士山の土地の頂上の所有について、浅間神社と静岡県、山梨県の間で裁判が起こされた。最高裁の判決により、山頂は浅間神社のものとその所有が認められた。決め手は、山頂にあった社のためである。
ただし、二〇〇三(平成一五)年一二月において、その土地の払い下げが行われていないために登記は終わっていないということである。
| 東京書籍 (著:東京雑学研究会) 「雑学大全」 JLogosID : 12670822 |